ボッティチェッリ、サンドロ ヴィーナスの誕生
- 知識・情報
この貝に乗った絵はこんなに大きいなんて!と見た瞬間の感想です
1485年頃の作品 高さ172、5 横278、5 の大きな作品です
現在はウフィツィ美術館 (フィレンツェ)に収蔵されています
ヴィーナスの誕生』(172.5 cm × 278.9 cm)は、ボッティチェッリが残した作品のなかでももっとも有名なうちの1つです。対になっているわけではないものの、もう1つの大作『春(プリマヴェーラ)』とはセットで認識されることがよくあります。
中央にいる裸体の女性は、もちろんヴィーナスです。巨大なホタテ貝の上に立っていますが、ホタテは想像上の大きさでしょう。左側には風神ゼフィロスがヴィーナスに向かって風を送っています。ゼフィロスに抱えられた女性はおそらくアウラですが、定かではありません。
右側には女性が岸に立ち、貝の小舟でまさに地上に到達しようとするヴィーナスを迎えています。ゼフィロスが生んだ風はヴィーナスのホタテ小舟を岸に運んでいるのです。
地上に立つ右側の女性は、季節を区分するヴィーナスの従者の1人であり、ドレスの花模様から春の従者であるとわかります。総括すれば、「ゼフィロスの春風にのって誕生したばかりのヴィーナスが、花溢れる春に降り立つ」という作品です。 引用
ボッティチェッリの『春』には、6人の女性と2人の男性(+キューピッド)が配置されています。全体的な構図は右から左に進んでいると解釈すると、時系列順に物語が理解できる仕組みです。
右端では、3月の烈風ゼフィロス(一番端)がニンフのクロリスを誘拐するシーンが描かれています。クロリスは憑依されて春の女神フローラ(3番目の花柄の服の女性)に変身し、服に抱えたバラを地面に撒いています。
中央に立つ女性は、ヴィーナスです。ヴィーナスは鑑賞者をまっすぐに見つめており、ひと際存在感を放っています。ほかの登場人物から少々距離があるためだけでなく、背景の木々がアーチ型に構成されていることも、ヴィーナスの神々しい孤立感を引き立たせています。
左側の3人の女性は「3人の女神」であり、伝統的な構図(手を取り合い3人で踊る)で描かれています。そのさらに左側にいるのはマーキュリーです。マーキュリーは古代ローマ神話の神の1人で、商売繁盛や旅人を司ります。
中央のヴィーナスの上部にいるのがキューピッドで、矢を構えているものの、よく観察すると目隠しをされています。ヴィーナスは他の7人の登場人物に比べるとやや高い位置に描かれており、遠近法で小さく描かれているというよりは同じ大きさで位置だけがずれている印象です。 引用